– 現在地からの、友への便り。-
– 年輪を刻む –
処暑 二〇二五年八月二十三日〜九月六日
残暑お見舞い申し上げます
変わらず元気にしていますか?僕はそのまま、盛岡で過ごしています。前回の便りの後から、盛岡もまた暑くなりました。気温としては三十度強なのですが、湿度が高くて。日中から夜にかけて、エアコンで除湿をしつつ過ごしてきました。朝晩の涼しさや陽の光の色など、秋を感じる部分は日に日に増えてはいますが、季節はまだ、夏であることを諦めきれないようですね。
そういえば先日、カメラが使えなくなりました。シャッターが切れなくなってしまって。今回はバッテリーの問題ではなさそうです。2023年末にモニターが壊れてしまって以来、いつかこの日が来ることはわかっていたのですが。十一年と数ヶ月の間、いつも一緒に旅を続けてきたカメラが壊れてしまうと、大きな喪失感を得たのと共に、気持ちが落ちてしまいました。旅の相棒を失うのは寂しいものです。
それでも僕の人生は続くので、次のカメラを手にするまではスマホで撮り続けるとして、まずは同じカメラを手に入れます。僕が使っていたのは OLYMPUS PEN mini E-PM2 の黒で、2012年に発売されたものです。それなので中古しかありません。白は何度か見かけたのですが、黒はまだネット上でしか見かけていません。そんな中でも、状態のよいものを。それを誰かから贈ってもらえるように。
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自分が持っているモノや得たモノは、それを必要としている誰かに渡して、自分が必要としているモノは誰かから贈ってもらう。僕としては、そんな人生を送れると嬉しいです。簡単ではないのかもしれませんが、僕の心はそれを望んでいます。それをより現実化していくことが、この十二年で実らせたいものの一つなのかも。すでに出来ている部分もあるので、その割合を少しずつでも高めていけばいいわけで。
言葉で言えば、自分の中に根付いてしまった交換の論理を手放して、贈与の循環の中に身を置く割合を高めること、です。交換の論理が意外と根深いのですが、それがあることに気づけている今は、半分目覚めたようなものかと。あとはまた少しずつ、思い込んでいる部分を一つずつ書き換えて。そうやって、自然の摂理の中で、自然の一部として、社会に身を置ける割合が増えると、とても心地がよさそうです。
そうやって更に自分を軽くしながら、巡らせる機会を増やしていきます。自分が生きている日々の中で、ごく些細な贈与を、まるで呼吸するかのようにたくさん巡らせて。人の笑顔と感謝に触れながら、この世界の一員として心穏やかに過ごしていけたら嬉しいです。幸い、僕はとても運がよくて。必要な物やお金が、最適なタイミングで現れてくれます。人のご縁にも恵まれていて、とてもありがたいです。
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話は変わりますが、八月二十二日から二学期が始まり、三男は元気に学校に行っています。朝から行ける日も増え、一学期とは違う様子で興味深いです。今は肌の調子がいい時期で、行きやすいのかもしれません。もしくは、何かが晴れたのか。すでに中休みを取った日もありましたが、マイペースに進めたらよいかなと。大切なのは、三男自身がどんな自分でどんな日々を過ごしたいのか、なので。
しかし、雪国の夏休みは短いですね。夏休みは八月末まで、という認識があるので、未だに驚いてしまいます。ちなみに今の時期の僕はまだ、全然宿題が終わっていませんでした。夏休みの初めに宿題を少しだけ進めたら、あとは先延ばしにして。終盤の全校登校日に向けてちょっとやり、夏休みの最後の二、三日で一気に終わらせていた気がします。もしくは、終わらせられずに二学期を迎えるか。
次の夏休みこそは、と毎年思いながら、小学校での日々を終えてしまいました。中高の宿題はどうしていたのか、全く覚えていません。何にせよ、そんなに変わらなかったのではないかなと。そんな、今を楽に、面倒くさいことは先延ばしにして、な性格はなかなか変わりませんね。あの頃に比べるとまだ、早めに取り組めるようにはなりましたが、まだまだ面倒くさいことは見ないふりをする機会が多いです。
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世の中の大切なことは、たいてい面倒くさいんだよ。宮崎駿氏の、そんな言葉が頭をよぎります。とはいえ、面倒くささも自分の心持ち次第で変わるもの、だとも思いますが。僕にとって盛岡の家で過ごす日々は、一番家事を行う機会が多いです。日常の家事の中では、洗濯物をたたむことが一番得意ではなく、山にしたまま置かれていることが多くて。それをたたむにしても、10分程度のことなのですが。
他にも家事には、細分化すれば5分10分で終わるものがたくさんあります。それらを見て見ぬふりして過ごす時と、率先して行える時と。日常の作業においては、公式ページの更新も会計作業もそうですね。作業においては10分以上かかるものの方が多いですが、それでも率先して行える時は、僕の心の中に適度な余白があって、純粋にその作業を行うことができています。
そんな日々の積み重ねは、僕にとってとても面倒くさいものです。けれども、自分を整えるための大切な機会だと知っています。余計な思考を手放して純粋に家事や作業ができる時は、瞑想している時と同じ感覚になれるので。日々を生きることで自分を整えることでもあるなんて、うまいことできてるなぁ。僕にとって自分を整えることは、目の前の相手や自分の人生を促すための、最も大切な作業になるので。
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さてさて。おかげさまで先日、四十八歳の誕生日を迎えることができました。元気に産んでくれて、元気に育ててくれた両親に感謝です。そして、家族や友人たち、これまで出逢ってくれた全ての人たちにも。これまで自分が思っていた四十八歳よりも、断然子供な自分ですが、遅くても還暦を迎える頃には精神的な部分で大人になれるよう、この先も旅を続けていけたらと思う次第です。
誕生日の少し前には、右のお尻からふくらはぎにかけて痛みがあり、坐骨神経痛のような状態が続きました。そうなると、動くのが億劫になりますね。いろんな動作に、肉体的にも内面的にも抵抗が生まれて。朝や風呂上がりに筋肉をほぐしたり柔軟を行うことで、今は痛みがとれました。おかげ様で、心身が健康であることはとても大切なことだ、というのがまた少し解った気がします。
それと少し前から、旧Twitter 以外のアプリをログアウトして過ごすようになりました。必要な時はパソコンで見るようにして。入ってくる情報量が減り、更に楽になった気がしています。僕にとってはこれも、心身の健康に繋がりそうです。加えて、SNSで見たことで繋がっているつもりになっていた自分にも気がつきました。人との関わりも改めて、基本に立ち戻ってみることにします。
二〇二五年八月三十日

2025/08/21 MORIOKA / IWATE / JAPAN
Photo by Yutaka Kobayashi

2025/08/22 MORIOKA / IWATE / JAPAN
Photo by Yutaka Kobayashi

2025/08/28 MORIOKA / IWATE / JAPAN
Photo by Yutaka Kobayashi
おわり
” 「 歩く速さで 」では、小林豊の現在地から届ける友人への便り、として言葉を綴っています。二十四節気の暦に沿ってお届けできたらと。そんな便りの中で僕の、日々の些細な出来事を通じた気づきを貴方に共有させてください。それが結果的に、互いが生きる日々にとって、より佳きものになれば幸いです。”
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これまでもこれからも
心がおどる、たのしい日々を。
最後まで読んでいただき、どうもありがとうございます。
– 自分らしく、しあわせに生きること –
COBAKEN LIFESTYELE LABO

1977年、広島生まれ。ファシリテーター。広島県竹原市と岩手県盛岡市の二拠点生活+旅。スキナコトヲ スキナトキニ スキナトコロデ、とういう生き方。ファシリテーターとして促すのは、目の前の相手の人生。
詳しいプロフィール ⇒ cobaken.net/profile