一元を歩く。| 歩く速さで #044 – 2025.11.29 –



Ver.1.0.0



– 現在地からの、友への便り。-






– 一元を歩く –


小雪 二〇二五年十一月二十二日〜十二月六日




 変わらず元気にしていますか?僕はそのまま、盛岡で過ごしています。今年は早めに年内は移動しないことを決めたので、例年にはない不思議な感覚です。そんな中、図書館でおせちの本を借りてきました。いくつか作れたらいいなと思って。こんな風に年末を過ごすのは久しぶりです。大掃除にしても少しずつやっていけば、これまでに味わったことのないような年越しを迎えることになるのかもしれません。


近年は年末年始を竹原で過ごすことがないので眺めることはなくなりましたが、暮れに数日かけて母や、生前は祖母も一緒に、おせちの準備をしている姿は今でも印象に残っています。うちは本家でもあり、親戚が集まる場所でもありました。その準備はとても大変だったのだと今では思えます。その頃は、正月にはおせちがある、というのが当たり前に思えていましたが。ほんと、ありがたい限りです。


当たり前なんてないと、もっと早くわかることができれば、なんて思うこともありました。けれども、それがタイミングだったのだと今では思えます。それがわかっていたら、体験できなかったこともあるはずなので。ただ、わかった以上はしっかり感謝したいです。文化を紡いでもらっていることに対しても。有ることが難しい、と書いて有難いだなんて、日本語はよくできた言語ですね。


*


 友人宅にお邪魔するため、三日前に冬用タイヤへ交換しました。まだ雪は降っていないのですが、友人宅は山手にあるので念のために。そして一昨日、新米の収穫のお祝いということでお邪魔したのですが、少しだけ農作業を手伝わせてもらいました。黙々と身体を動かす時間はよいものですね。土にも触れられたし、内側が整ったように思えます。そして、美味しいお米をいただいて。とても豊かな時間です。


そして、薪ストーブをぼんやり眺めつつ呑む酒は最高でした。浜松の、囲炉裏生活をしている友人宅でもそうです。火を眺めながらの時間は色んなものが消えてくれて。すごくシンプルになれます。そんな中で話したことで、とても印象に残ったことがありました。この世には陰があり、陽があり。今の時代では、二元だけでは解決できないことも増えましたが、相対性は物事を認識するためにとてもよい状態です。


認識したのちに目指すのは、二元の素となる一元だと思っています。例えば自然の近くで暮らすことは、一元に近づきやすい環境です。例えば僕は、旅が苦手だから旅がしやすい生き方を選びました。けれども中には、都会でも二元の真ん中を平然と生きている人がいると。確かにそうです。僕はそれが得意ではないから都会よりも自然に近い方を選ぶし、社会から外れて旅する暮らしを選んだのだと思えました。


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 何にしても、体験を重ねてきたからわかることなのでしょうね。もっと器用に生きることもできたのでしょうが、何せ器用ではないので。ただ、器用貧乏ではあるので、精一杯合わせようと努めました。けれどもそれは、いつまでも続くものではなく、生息域が広がれば広がるほど、どこかに綻びが生まれるものです。その綻びを直すことに必死な頃もありました。そして直りかけた頃にまた、別の場所が綻んで。


とある本に、《 世の中の「 ふつう 」にうまく乗れなかった私が、唯一できそうなことだったからです。》という言葉がありました。これ、すごくわかるのです。自分もそうだったんだな、って。普通ではなく特別ありたいと思っていた若い頃もありましたが、今となっては普通であることは簡単ではないと実感しています。それができている人に対して敬意を払うほどに。それこそが特別に思えます。


そもそも普通とはなんぞや、ですね。僕が言う普通とは、多数派であり主流であり、仕組みの中できちんと生きている状態です。その中にいるために、頑張り続けている人もたくさんいます。ちなみに、そんな人たちに対しても敬意を払います。ただここでは、頑張らずに自然体でそれを行える人たち、つまりは先ほどの、都会でも二元の真ん中を平然と生きている人たちのことについて話しています。


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 今となっては、そんな人たちを羨むことはなくなりましたが、中道を歩める自分ではありたいです。そんな自分に向かっていくためにも、基本に戻ってごはんでダイアログから始めることに決めました。いつぞやの便りでも触れましたが。まだ公式ページなどの準備が整い切っていませんが、別にやめていた訳ではないので大丈夫でしょう。しかしこのマイペースさ。我ながら突っ込みたくなるような。


けれども、そんなマイペースさも大切にしたい自分がいます。とにかく余白を持って生きられるように。例えば急遽、翌日に盛岡を出発することになっても大丈夫な状態を維持しておきたいです。今はパスポートが切れてしまっているので不可能ですが、その行き先が海外であったとしても。依頼をくれた人のもとに、いつでも駆けつけられるように。そのためにも、心も時間も余白を持ち続けていたいのです。


そういえば、行列ができる状態にも憧れていたなぁ。今だと、絶対に嫌ですね。僕の知名度や人気からすれば、そんな心配は不要ですが。イベントなどで大行列ができているのを見かけると、その状況が気持ち悪いなって思ってしまいます。売り手や並んでいる人に対しては思いません。やりたくてやっていることなのでその人の自由です。とにかく、一瞬で消費されていく状況がとても気持ち悪いのです。


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 さてさて。明後日から師走ですね。今年は早いうちから少しずつ、掃除を進めていくつもりでいます。つもりで終わらないよう、きちんと計画を立てなければ。願わくば、クリスマスを迎える頃にはあらかた、主となる大掃除を終えておきたいです。ちなみに、我が家は仏教徒なので、クリスマスは普通の日です。三男にサンタさんからのプレゼントが届き、豆乳と米粉のケーキを食べはしますが。


こんなこと言っているから普通ではいられなかったのかもしれませんね。土用の丑の日や恵方巻き、ハロウィンにバレンタインデーなどなど、商戦的要素を感じたり、廃棄がたくさん出る可能性があるイベントには興味がありません。ただの天邪鬼なのかな。昔は、そういうものだと思って、素直に従っていましたが。どこからその魔法がとけてしまったのか。その分、自分に素直に生きることができています。


そしてまた、乾燥の季節がやってきました。秋土用の頃から特に、三男の肌が荒れてきて。うまく排毒できないものや、肌の痒みを促す要素が増えてくる季節です。今は痒みで夜は眠りが浅く、朝方にやっと熟睡できるサイクルで、昼前後まで眠っています。睡眠は一番の薬なので、今はそれを最優先としています。それができるだけでも、自分が今盛岡にいてよかったなと思えています。




二〇二五年十一月二十九日

小林 豊





2025/11/14 MORIOKA / IWATE / JAPAN
Photo by Yutaka Kobayashi




2025/11/27 MORIOKA / IWATE / JAPAN
Photo by Yutaka Kobayashi




2025/11/27 KITAKAMI / IWATE / JAPAN
Photo by Yutaka Kobayashi






おわり




” 「 歩く速さで 」では、小林豊の現在地から届ける友人への便り、として言葉を綴っています。二十四節気の暦に沿ってお届けできたらと。そんな便りの中で僕の、日々の些細な出来事を通じた気づきを貴方に共有させてください。それが結果的に、互いが生きる日々にとって、より佳きものになれば幸いです。”




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