– くらしを促す、ことばのたね。-
– 大切な想いを見守ること –
僕は以前、誕生日を迎えてからの1年間、自分のテーマを決めていた頃がありました。例えば、41才のテーマは「 伝える 」で、ひとつ前の40才の時のテーマは「 見守る 」でした。40才を迎える手前頃から「 見守る 」というテーマに触れる機会が増えていたのですが、この先の時代を生きていくにあたって、このテーマに向かい合えたことはとても大きなことだった、と今では思っています。
自分の人生をふり返ると、すべてを見守られて生きてきたのか、といえば、そうではない部分も多かったのかもしれません。僕らが子供の頃はまだ、大人と呼ばれる人たちが子供をコントロールすることが当たり前の時代ではありました。それを当然の事としてやっていた人も多かったのだと思います。そして、そうやって育てられた人はつい、同じくコントロールしながら子育てしてしまうことも多いようです。
見守ることの反対は、体験を奪うことだと僕は思っています。例えば、親が子供が転ぶ体験を奪えば、体験を奪われた子供は、より大きな痛みを伴って転ぶものです。うまくいかないことも、本人にとっては大切な体験であって、その体験を終えてからでないと進めないこともあります。奪い奪われも含めてタイミングなので、良いとか悪いとかではありませんが、お互いが納得して歩みたいものですね。
そんな風に、大切な人の想いを信頼して見守るために必要なのは、胆力だと思います。大切な人の喜怒哀楽を見守るためには、割と覚悟が必要です。そして、今自分が生きているこの世界や自身への信頼も。結局、身近な人であればあるほど、自分自身の投影なのです。だからこそ、我慢しきれなくなる気持ちもわかります。信頼して見守れないというのはたぶん、自分の中に抱えている何かが原因なので。
30才を迎える頃に人間として一皮むけるための期間がある、という話があります。そしてその頃から還暦に向け、精神的に高まる成長軸に加え、本来の自分に戻る成長軸が生まれるようです。その過程で人は、大切なことを思い出し、本当の意味での大人になるのです。そうやって思い出すことができた大切な自分の想いを、そして大切な人の想いを信頼して見守ること。僕は、それができる自分を選びます。
[ くらしのたね #031 ]
見守ることの反対は、体験を奪うこと。
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1977年、広島生まれ。ファシリテーター。広島県竹原市と岩手県盛岡市の二拠点生活+旅。スキナコトヲ スキナトキニ スキナトコロデ、とういう生き方。ファシリテーターとして促すのは、目の前の相手の人生。
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