– いま、ここにあるもの。ここにある想い。-
有難いことに先日、旅する暮らしを始めて丸11年を迎えることができました。そして、12年目がスタートしました。そんな区切りのタイミングに、これまでの旅の日々とこれからのことを言葉にしてみます。
– 生活を背負って歩く –
始めに手にしたバックパックは70Lで、赤い筒型でした。1番重かった時で22〜23キロくらいだったと思います。家に戻る度に少しずつ、旅先でほとんど使わなかった物を荷物から外して。使い続けていると、バックパックの中での荷物の配置も決まってきます。基本、生活用品は下で、仕事道具は上で。旅立ちの数だけ経験が積み重なり、いつの間にか荷造りが速くなっていました。
2つ目のバックパックは55Lで、黒くて小さな収納がいくつもあって。スーツケースのように、下からも開くことができます。荷物を詰め終えた後、靴下や手拭いを出していないことがよくあり、助かっていて。バックパックへの買い替えを決めた時から、荷物を更に減らすための選別が始まりました。その結果、減ったものもあれば、新しく常備された物もあって、今は18キロくらいが続いています。
バックパックには僕の生活が詰まっています。もちろん、寝る場所や寝具、台所やお風呂、机や調理道具など、訪ねた先で借りるものがたくさんありますが。その中に物を増やせば増やすほど、バックパックは重くなるわけです。荷物が重くなり、歩くのが辛い体験を繰り返したからか、可能な限り物は減らして、少しでも楽になるように、といつの間にか思うようになりました。
あと、いつからそう思うようになったのかは覚えていませんが、僕の中に、バックパックを背負った状態で、片道徒歩1時間歩ける自分であること、という目安があります。徒歩1時間は4km ほど。それを歩けなくなる時が、肉体的な問題で旅を終える時だと考えてきました。一、二週間同じ場所に滞在することが増えてきた今では、背負って歩く機会は減ってきましたが、それは変わらず意識し続けています。
– 自分との仲直り –
2012年9月21日に、沖縄に移住した友人夫婦を訪ね、那覇に1週間滞在したことから旅する暮らしは始まりました。あれから11年。とても長かったような、あっという間だったような。とても有難いことに、多くの人に助けてもらいながら、今日まで生きることができました。この日は、自分がこの世に生を受けた日と同じく、感謝の気持ちを伝えたい日です。
そんな日々の中で、色んなまちの、色んな人の ” 日常 ” を眺めてきました。” 日常 ” を好む僕の旅は、派手なものでもなく、映えるものでもなく。見る人によっては苦しそうに見えるものかもしれません。修行僧のよう、と言われることは割とあるので。けれども僕自身、とても愉しく、穏やかに毎日を過ごさせてもらっています。自分で自分を抑え、否定していた頃と比べるからそう思うのかもしれませんが。
愉しく、穏やかに毎日を過ごせている要因の一つは、自分との仲直りが進んだこと、だと思っています。この11年は、日本から東南アジアまでを旅しながら暮らし、しかも物々交換や贈与の循環の試みをしてきました。そんな日々には自分と向かい合う機会がたくさんあって。対話の場をつくるという生業もそれを促してくれました。色んなまちで色んな人と出逢い、その全てが僕を映し出してくれました。
今は二拠点生活になり、当初の旅する暮らしとは変わってきましたが、それもまた自分と向かい合う機会を与えてくれています。西日本と東日本、沿岸部と内陸部など、わかりやすい違いに触れながら日々を過ごしています。年の半分は変わらず、旅先での日々ですし。そんな日々のおかげで、許せなかった自分をいくつも許すことができ、以前よりも自分と仲直りすることができました。
– 自分が、自分らが –
11年の日々のおかげで、” 旅するように暮らすこと ” ができるようにもなりました。旅が苦手な僕が、同じ場所に居ても旅ができるようになる、という挑戦は終わりを迎えたのかもしれません。それでもまだこの先も、二拠点生活+旅の日々は続いていきます。その中で、旅、対話、建築、写真、という今の僕を形成する要素がどうカタチになっていくのか。自分の中に、バンライフという選択肢も出てきましたし。
このタイミングで改めて、” スキナトキニ、スキナコトヲ、スキナトコロデ ” という言葉の大切を実感しています。僕にとって、とても大切な言葉でした。喜怒哀楽をきちんと持つことと並ぶ、僕が願う豊さを表してくれる言葉の一つです。改めて問いかけてみると、今ではその意味も変わっていることも実感できました。旅を重ねた分、見えてきたこともあれば、深堀りできたことがあるのだと思います。
正直今は、この世を憂う気持ちが増しています。コロナ禍に入ってから特に。こんな茶番を経て、この世界はどこに向かうのだろうか、と思ってしまいます。それに、この国の施策は、誰のための施策なのだろうと疑問に思うことも増えました。個人的にはですが、それでも対話の時代としての転換は進んでいると思ってはいます。けれども今は、戦争の時代から変わりたくない人たちの抵抗がとても強いようです。
けれども、自分の外側の世界を変えていく力は持っていないし、変えることを望んでもいません。自分自身が変わっていくのみです。どんなにこの世を憂いても、そこは変わらない事実。それなので、自分が、自分らが心から笑えること、そこに限るのかなと。誰かではなく、自分が、自分らが、です。変わり続けるこの世界の中で、大切なことを大切にしながら臨機応変に、世の移ろいを愉しみたいものです。
そして。最後になりましたが、妻や子供たち、両親、義父母が元気でいてくれるから、出来ているのだと、事ある毎に痛感します。現時点では誰の役に立つかもわからない、自分勝手な試みを続ける旅をです。そんな有難い環境への感謝の気持ちを胸に抱きながら、家族や身内同然の仲間たちと共に、旅する日々をこの先も愉しんでいきますので、引き続きよろしくお願い致します。
おわり
” この「 いま、ここにあるもの 」では、小林豊の独り言をつらつらと書き記しています。この投稿をする1番の理由は自分自身が思い出す為なのですが、それが巡り巡ってたまたま、この独り言を必要としていた人の元に届くのも嬉しいなと思います。そんな小さな奇跡も信頼しつつ、自分の内側にある想いを言葉にしています。”
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これまでもこれからも
心がおどる、たのしい日々を。
最後まで読んでいただき、どうもありがとうございます。
– 自分らしく、しあわせに生きること –
COBAKEN LIFESTYELE LABO
1977年、広島生まれ。ファシリテーター。広島県竹原市と岩手県盛岡市の二拠点生活+旅。スキナコトヲ スキナトキニ スキナトコロデ、とういう生き方。ファシリテーターとして促すのは、目の前の相手の人生。
詳しいプロフィール ⇒ cobaken.net/profile