– 旅は日常。暮らしの中に旅はある。 –
– 思考の広さは移動距離に比例する –
「 心が開かれている 」状態のことをオープンマインド。その状態は、素直でフラットで、広い心で人や世界に接することができる状態だと思っています。そんな状態でまっすぐに、文化や考え方が違う人の話を聴く耳を持つことが、旅をする上では大切な、人や世界との接し方だと僕は考えています。
2012年から始めた僕の旅は、知らない自分を知る、というテーマで始まりました。それなので、自分の知らない世界を知ることに重きが置かれました。自分が生きてきた日本の中だけでもたくさんの違いがあり、人の数だけ個性が存在します。そんな中で、真っ直ぐに目の前の世界に触れるには、オープンマインドが必要でした。
「 思考の広さは移動距離に比例する。」、これは、ファシリテーション仲間が教えてくれた言葉です。
初めてこの言葉を耳にした時にはまだ、ファシリテーターとしての活動を始めて間もない頃で、竹原の家を拠点にして家業を営みつつ、竹原市内と広島市内でファシリテーターとしてまちづくりの活動をしながら、数ヶ月に1度程度、県外への出張を行っていた頃でした。
その当時、「 そういうものなのかぁ 」と、竹原市内だけの生活から、広島市内に活動範囲を広げたことや、たまにある県外出張で県外に出る機会が増えたことで、確かに自分の思考の枠が広がったかもしれない、なんて思っていたのを今でも覚えています。
結果的に僕は、2012年から始めた旅する暮らしを通じて、そのことを痛感する体感をさせてもらいました。そして今も変わらず、旅する暮らしの中に身を置いているのですが、そんな日々の中で、自分の思い込みやレッテルに触れながら、自分の枠を広げる機会を変わらず受け取っています。
今でこそ移動の機会は減ってきましたが、毎日違う環境で寝起きする旅先での暮らしでは、その機会を得るのはとても簡単でした。自分の中に存在することよりもむしろ、自分が知らないことや考えもしなかったことに触れるのが、とても愉しかったのもあります。
自分の知識や物差しだけで世界を決めつけるのではなく、知らないことや違いを受け容れて、ほんの少しでも自分の外へ世界を広げること、それをいつも心がけながら旅する暮らしを続けています。
– まずは、判断を保留すること –
例えば、旅先で見たことや聴いたことなどは、「 そうなのかー。 」「 そうなんだ 」 とまずはそのまんまを受けとめます。自分の当たり前や物差しは一旦脇に置いて、目の前にある世界に興味を持って、わかろうとすることから始めます。実はこれには、背中を押してくれたエピソードがありまして。
あれは、韓国のソウルで昼ごはんを食べていた時でした。昼時は外れていて、店内には自分たちともう一組のお客さんだけでした。そのもう一組は50代くらいの日本人夫婦で、韓国人のガイドさんと大きな声で奥さんが話をされていました。
その時聴こえてきたのは、「 昨日の夜にオイルマッサージを頼んだら、タオルすら持ってこなくて。普通だったら、持ってくるでしょう。」なんて感じで、自分の物差しを振りかざして、自分にとっての当たり前以外を否定する話を続けていました。それを聴いていて正直、恥ずかしくて。
自分の当たり前を振りかざすなら、その当たり前が通用するところで生きていけばいいのだと思います。自分の生きている世界での当たり前が、どうして他の世界でも通用すると思ってしまうのでしょうか。もしかしたらその人にとっては、それを知るための韓国での旅だったのかもしれませんが。
それは僕にとって、自分の物差しを外の世界に押し付け、目の前の違いを否定することで自分の正しさを主張し、人に同意してもらおうとする、狭い心の状態の僕自身の醜さを映し出してくれた鏡でした。そんな反面教師を目の当たりにしたおかげで、改めてオープンマインドの大切さを実感することができました。
オープンマインドでいるためにはまず、判断を保留することが必要です。判断を保留する、すなわち良いとか悪いとか、正しいとか間違いとか、頭が勝手に判断したとしても、それを保留することです。つまり、オープンマインドであるための最初の段階であり、ついでに言えば、ファシリテーターにとって最も大切なことだと思っています。
そうやって知らないことや違いを受け容れたあと、その違いを愉しみながらいろんな世界に触れ、自分の知らない自分を知っていく、というのが僕の旅です。そんな旅の中で、勝手に人と比較して自分を蔑む自分にも許可を出し、そんな自分も受け容れながら過ごしてきました。
– 無条件に、世界のすべてを受け容れる –
ちなみに、僕が目指しているのは ” 無条件に、世界のすべてを受け容れる ” ことです。
これは、2013年に開催した WORLD PEACE 読書会 で「 排除しない世界 」という言葉に出逢い、それを自分なりにポジティブん言葉に言い換えたものです。信頼とも愛とも言い換えることができます。この言葉に出逢ってから見たくない世界を排除しているそんな自分に気づき、目を向けていない自分の世界に目を向けることができたのです。
なんだかんだ言って人の目を気にしながら生きてきたし、自信がない部分もたくさんありました。それに、仲間はずれにされるのも怖かったです。あと、旅をしながら暮らす、というエゴや、アジアで対話の文化の基礎を築く、というエゴも、自分が勝手にそれを望み、自分が勝手に決めたことであって、そこに人を巻き込んでいるという怖れも現れてきたこともありました。
それでも、僕が目指しているのは、無条件に世界のすべてを受け容れることです。それなので、どんな自分も排除せず、無条件でそのまんま受け容れることに努めます。とてもとても、大切な自分なので。それに、自分を受け容れることは、人や世界を受け容れることにもつながります。それなので、無理のない部分から少しずつでも受け入れていくことからですね。
そうやってまた、よりオープンマインドで毎日を過ごせるように、自分の視野を、自分の世界を、自分の器を広げているところです。昨日の自分よりも今日の自分が、今日の自分よりも明日の自分が、より大きな器を持って目の前の世界を受け容れられるように、この先も愉しみながら旅する暮らしを続けていきます。
おわり
” この「 暮らすように旅をする 」では、僕が旅する暮らしの中で行っていることや、その体験からの学び、授かった知恵などを綴っていきます。読んだ人にとって、より自分らしく、シンプルで心地のいい、旅するような毎日を過ごすきっかけになることを祈って。”
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1977年、広島生まれ。ファシリテーター。広島県竹原市と岩手県盛岡市の二拠点生活+旅。スキナコトヲ スキナトキニ スキナトコロデ、とういう生き方。ファシリテーターとして促すのは、目の前の相手の人生。
詳しいプロフィール ⇒ cobaken.net/profile