– 旅先からの、友への便り。-
– 時代の変わり目に –
大寒 二〇二五年一月廿日〜二月二日
また今年も、旧正月を迎えることができました。早いものです。年々、あっという間に時が過ぎてくれます。歳を重ねたからなのか、より愉しみながら生きることができているからなのか。今年は節分が例年よりも一日早いし、気がつけば立春を迎えているのでしょうね。その日が愉しみでもあり、ついに始まってしまうのかという、嬉しいようで億劫でもあるような、何ともいえない感覚でもあり。
旧正月を迎える前、バック駐車がうまくいかないことが続きました。停められはするのですが、線に対してえらく斜めになるのです。面白いくらいに。前側が少し右に向かっていて。それが続いた時、自分の心の状態を表しているように感じたことがありました。何かがズレている感というか、焦っているというか。確かに、盛岡を旅立てないように、なかなか事が進まないことにもどかしさはありました。
それも、旧正月を迎えた頃にはなくなりました。これまた面白いものです。何もなかったかのように、真っ直ぐ停められるようになりました。ただ、旧正月の前夜、気持ちがものすごく落ち込んで。それがピークだったのだと思います。自分の闇に触れたというか、何というか。もう、どうでもいいや。そんな気分に包まれました。そんな機会を経たからか、新しい年を迎えられた感がより強いです。
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最近は、白米にもち麦を入れて食べています。食物繊維の量であったり、血糖値の上昇を緩やかにしてくれる部分だったり、今の盛岡の家での食卓にはこちらの方がいいのかもと思うところがありまして。一番の理由は、アトピー気味の三男の肌を治すためです。冬になると特に荒れるので。寝ている時間帯に痒みが出て、睡眠は浅いし、顔も身体も傷だらけで。昨年に比べるとマシではあるのですが。
それなので、彼の内臓が元気に働くようにすることが、盛岡の家の食事選びの最優先事項です。小麦粉と乳製品を抜き、糖分は適度に控え、添加物も可能な限り避けています。そのおかげで色々と考え、確認することが増えました。そのおかげもあって、ご飯と具沢山の味噌汁の組み合わせの最強さを実感する日々でもあります。盛岡の家では毎日、手を変え品を変えながら、土鍋が稼働し続けてくれています。
先日、スーパーで鯛のアラを見かけたので、思いつきでアラ汁を作ってみました。魚を下ろしたことはないし、アラですら初めて扱う僕です。それなのでネットで調べ、下処理をどうにか行い、毎日稼働してくれている土鍋に入れて。それだけでほぼ一杯になったのと、鯛の骨の硬さに驚きでした。やっぱりやってみるものですね。五十を数年後に控えた今でも、新しい体験と学びが日々に溢れています。
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旧正月に、立春に、自分にとっての新年を迎える感覚が増す日々の中で、この十二年の旅する日々をふり返る時間が増えています。暮らしが大きく変わり、旅を重ねてきた中で自分が得たことは何なのか。そんな問いが自然と投げかけられます。そしてこの先、どのように生きていくのか、どう在りたいと願うのか。だからこそ今、対話をしたい気持ちが増しているのでしょう。
そんな中、この先でやりたいことの一つに、三人での対話の場が浮かびました。大人数で行われている対話の場に対する、ただの天邪鬼な感覚なのかもしれませんが。けれども、二人ではなく三人なのです。線ではなく、面として行える最少人数での対話です。今の時点で場のテーマや問いがあるわけではありませんが、やってみたいなと。これまでの対話を体験してもらう場とは違う、一歩踏み込んだ対話の場です。
そしてひとつ、恥を手放すことが、今の自分に必要なことだと思いました。とはいえ、恥とは何なのか、突き詰めて考えたことはありません。恥の文化、という言葉もあるくらいなので、善い働きをしてくれる部分もあるのだと思います。そんなことも、対話を通じて深めていきたいです。自分との対話もよいものですが、自分とは違った考え方や価値観などに触れながら、自分なりの意味を見出して。
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気がつけば #004 まで出来上がってしまったのですが、旧Twitter にテーマ毎に投稿した写真を使って ZINE を作っています。最初は、B4片面でいいかなと作り続けていたのですが、試し刷りを友人に渡した後に自分で、これだとただ綺麗に並べただけじゃん、って思ってしまいまして。ポートフォリオとしてはいいのだと思うのです。改めて眺めてみても、じんわりと嬉しい気分に包まれますし。
それなので、裏面も作ることにしました。裏面には、一枚の大きめの写真と、テーマに合わせて書き下ろした言葉と並べます。取り掛かると、レイアウトもすんなり決まりました。あとは、写真を決めて文章を綴って。表面が出来上がっていた #004 まで、流れに乗って作成できたので、一気に完成することとなりました。あとは、どのように印刷するか、です。
もう少しバックパックでの旅が続きそうなので、旅先で必要な分だけ印刷して、その時の最新号を出逢った人に渡すのがいいのかなと。そうなると、印刷はセブンイレブンで行うことになります。もしくは、印刷屋さんでまとめて印刷してもらうか、自分で印刷するか。それならば、ある程度まとめて持ち運ぶ必要が出てきます。ただ、後者は自分で紙を選べるのです。それに、1枚あたりの印刷コストも低いです。
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そんなことをあーだこーだ考えつつ、日々の作業や家事を進めています。そんな日々もいいものですね。何だかんだで、9月のはじめに盛岡に戻ってから今日で162日目なのです。多分、一度の滞在としては過去最長です。このまま、今年の立春は盛岡で迎えて、二月のどこかで竹原に戻れるといいなと今は思っています。こんな時こそタイミングを信頼して、今の自分にできることを一つずつ、です。
先日、久しぶりにやりたいことを100個書き出してみて、大小たくさんのやりたいことが並びました。それらを改めてイメージして、その全てがすでに叶っている自分として、愉しみながら日々を過ごすことにします。そうすれば自ずと、自分のやりたいこと、実現したいことが叶っていくでしょう。それに向けて必要なのは、アクセルを踏むことではなく、ブレーキを外すことかと。時代は変わりましたね。
秋から今にかけての、英気を養いつつこれまでをふり返る日々の中で少しずつ、時代の変化を実感してきました。目には見えないけれど、着実に。だからこそ手放す必要があることもたくさんあって。僕にとっては恥の一部が、手放す必要のあることの一つでした。他にもたくさんあるのでしょう。そうやって人は、時代に適合しながら歴史を重ねてきたのですね。今度は僕らが、そう在るタイミングのようです。

2025/01/26 MORIOKA / IWATE / JAPAN
Photo by Yutaka Kobayashi

2025/01/26 MORIOKA / IWATE / JAPAN
Photo by Yutaka Kobayashi

2025/01/27 MORIOKA / IWATE / JAPAN
Photo by Yutaka Kobayashi
おわり
” 「 旅の途中の 」では、旅先から届ける友人への便り、として言葉を綴っています。二十四節気の暦に沿ってお届けできたらと。僕の、旅する暮らしの中で起きる些細な出来事を通じて、ほっとひと息ついてもらえたら幸いです。”
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これまでもこれからも
心がおどる、たのしい日々を。
最後まで読んでいただき、どうもありがとうございます。
– 自分らしく、しあわせに生きること –
COBAKEN LIFESTYELE LABO

1977年、広島生まれ。ファシリテーター。広島県竹原市と岩手県盛岡市の二拠点生活+旅。スキナコトヲ スキナトキニ スキナトコロデ、とういう生き方。ファシリテーターとして促すのは、目の前の相手の人生。
詳しいプロフィール ⇒ cobaken.net/profile