– 旅先からの、友への便り。-
– まるで呼吸するかのように –
大雪 二〇二四年十二月七日〜十二月廿日
この節気も盛岡で過ごすことになりました。年内に一度、竹原に戻っておきたかったのですが、移動手段を受け取るに至らずで。それなので、今年はこのまま盛岡で過ごして年を越します。例年通り、立春を竹原で迎えられるように一月の半ばに盛岡を旅立ち、色々と寄り道をしながら戻れるといいな。近年の移動は時間の余裕が少なかったので、これでやっと本来のペースに戻れそうです。
今月半ばには、さらさらの雪が積もりました。エンジンをかけるために車のドアを開けると、ぱさーっとシートに落ちまくって。西日本の友人たちにこの雪を見せたいな、と思いました。そして、その日の朝の、雪かきをするための三男の寝起きの準備の早さには驚きです。かの有名な、40秒で支度しな!、とほぼ同等の早さで支度が進んで。主体性とはこういうものだなと、改めて確認させてもらいました。
そんな風に着々と冬が進んでいる中、左手の小指の第二関節にしもやけができまして。たぶん、二十数年ぶりかと。学生時代は毎年、手足の色んな指を腫らしていたのです。そういえば、長男も同じく、毎年指を腫らしていました。きちんと遺伝するのですね。ふとした時にそんな自分の指を眺めると、年を重ねた分だけシワが増えた中指や薬指の向こうに、パンパンで可愛い小指が見えて微笑ましくもあります。
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ひとつ前の便りでも触れましたが、旧Twitter で写真の投稿を続けています。テーマに合わせて写真を選ぶことに頭を悩ませていますが、自分を深めてくれる気がしていて。今節気のテーマは、旅の景色。自分にとってのそれは、どういうものなのか。投稿を続ける限りは否が応でも、自身に問いかけ続けることになります。自分なりの解でしかありませんが、自分を知るための佳き機会です。
次の節気では、かけがえのない、というテーマで投稿していきます。正直、何を選べばいいのか更にわからずで、準備にとても苦戦しています。それでも投稿を続けていけば、見えてくる何かがあるのだろうな。それに、投稿のために写真を探しながら眺めていると、当時の記憶が蘇ってきて面白くもあるのです。写真はタイムマシンでもあるのですね。それなのでついつい、時間がかかってしまいます。
そんな機会を経て投稿した写真から15枚選んで並べ、短い言葉を添えて。そうやって出来上がったものを印刷すると、とても嬉しい気分になりました。自分が続けてきたことがひとつのカタチになり、とても嬉しいのです。ただ、これを見て喜んでくれる奇特な人はいるのだろうか、とも思ってしまいます。いずれにしろ貴方には、この便りと共にいつか、送らせてもらう日が来るはずです。
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そういえば最近は、自給率を高める必要があるのだな、と思うことが増えました。その昔、竹原で食に関する活動もしていたこともあって、食料に関しては元々気にしてはいたのです。自分らの食事に、どれだけ自分らの地域で作られたものが使われているのか。個人的には、消費までではなく、地域で産まれ地域で継承する、という意を含んだ ” 地産地承 ” という漢字の並びがしっくりきていました。
そして今思うのは、自分らの生活に使っている物全ての自給率を高めることです。それらがどれだけ、自分らの住む地域で、自分らの地方や国で作られているのかを改めて確認し、その割合を高めていく必要があるのだな、と思う機会が増えました。その土地のエネルギーというか、波動というか、それを受けて育ったもので身体や生活を形成する方が自然だと思うのです。衣食住の、生活の基本となるところは特に。
世界中から物が届く便利な世の中だからこそ、考え直す必要があるのかもしれません。ちなみに、旅を始めた頃に考えた、旅する日々の中で意識することとして挙げたものがあります。それは、一次産業の価値を見直すこと、エネルギー問題に目を向けること、地域教育を再構築すること、の三つです。それらを主体的に、公平さの基準を共有しながら、持続可能な状態で行えるように、と思い続けています。
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話は変わりますが、先日、盛岡市内の気になっていた古着屋か雑貨屋らしきお店に、初めてお邪魔しました。入ってみると古道具がたくさんあり、懐かしいお香の匂いがしていて。気になるデスクライトがあったのですが、今回はドラえもんの黄色いマグカップと、コーヒーカップを買って帰りました。新しい道具が我が家の生活に仲間入りして嬉しいし、新しい世界に触れることができて新鮮な気分です。
その影響もあって、妻が直してくれていたデニムを久しぶりに履き、11年前に買った赤黒のセーターを着ました。紺シャツにデニム、というのがいつもの格好なので、いつもと違う色が視界に入るのもまた、新鮮な気分です。たぶん自分は物持ちのいい方だと思うのですが、長く使った愛着も含め、手直ししてでも使い続けたいと思えるものに囲まれながら生きたいと思っています。
ものを大事にして、命をまっとうさせることは使う人の役目だと思うのです。バックパックを背負って生きることになり、日々使う道具がシンプルになってから余計に、その想いは強くなりました。服や道具でも、一緒に旅をした大切な仲間ですし。この先もより、可能な限りその土地で生まれた物を頂き、使いながら、物を大事に、命をまっとうさせることを大切にして、日々を過ごしていけたらと思っています。
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そういえば、「 4Kや8Kの映像はリアルだけれど、リアリティがない。」、そんな言葉に出逢いました。とある対談で、甲本ヒロト氏が言っていて。デジタルがどんどん進化している中での、それぞれの特徴が再確認される、とても印象的な言葉だと思います。この先は更に、このようなコントラストは幅を広げていくのでしょうね。どちらがいいかではなく、その時々に自分は何を選ぶのか、ですかね。
そして、アニメ「 チ。」で、「 自ら間違っている可能性を肯定する姿勢こそが、学術とか研究には大切なんじゃないかってことです。第三者による反論が許されないなら、それは信仰だ。」という言葉にも。対話を行う上での、前提となる考え方と似ています。自分の常識を疑えるかどうか、対話においてもそれはとても重要なことだと考えています。
こんな言葉に公の場で出逢うと、対話の時代になったのだなぁ、と勝手に思ってしまいます。それに、この先の時代を自分はどう生きるのか、ということも。秋分から冬至にかけて、それらを確認する機会をたくさんもらえたようです。それをきちんとふり返るのは冬至を迎えてからにするとして今は、学びのいくつかを暮らしの中に取り入れつつ、可能な限り力を緩め、自然体で過ごしておきます。
おわり
” 「 旅の途中の 」では、旅先から届ける友人への便り、として言葉を綴っています。二十四節気の暦に沿ってお届けできたらと。僕の、旅する暮らしの中で起きる些細な出来事を通じて、ほっとひと息ついてもらえたら幸いです。”
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これまでもこれからも
心がおどる、たのしい日々を。
最後まで読んでいただき、どうもありがとうございます。
– 自分らしく、しあわせに生きること –
COBAKEN LIFESTYELE LABO
1977年、広島生まれ。ファシリテーター。広島県竹原市と岩手県盛岡市の二拠点生活+旅。スキナコトヲ スキナトキニ スキナトコロデ、とういう生き方。ファシリテーターとして促すのは、目の前の相手の人生。
詳しいプロフィール ⇒ cobaken.net/profile