旅LOG【重ねる。】 – 2015.01.06 - 小林豊公式ホームページ

３分で読める、旅人の日常 – 旅LOG –
東・東南アジアを旅しながら生活する小林豊の旅先での日常をお届けします。人に出逢うことや街を歩くこと、生活を感じることなど、そんな日常から、自然とあなたは必要な気づきを手にすることに。

ブログの読み方のご提案-準備-

FIND THE WORLD 4th season
Chapter.YU-01
東京都練馬区 – NERIMA / TOKYO / JAPAN –
2015/01/06

　最寄り駅近くの本屋さんに文房具を買いに、省エネのため自動ドアを手動で開けるマイナーな出入り口から外に出た。その自動ドアを出るとすぐに階段があって、僕は下りの階段の方に進む。すると視界に入ってきたのがこの建物だった。

レンガの色合いが目に留まったようで、時間を重ねてきたこの外観を見て「いいなぁ」と思った。

　以前、仲間と大型店舗たちが連なる通りをドライブしてて「この視界に 100 年後にも残したい建物はあるのだろうか。」と話していたときを思い出す。

100 年後に生きている人からすると珍しいレトロな建物になっているのかもしれないが、僕にとってはそんな価値を感じることのできない建物だった。そもそもそんなことを思って建てた建物が、今の日本にどれくらい存在するのだろう。

200 年後の子孫を想って裏山に木を植える。大工の見習いだった頃に読んだ本の中にあったエピソード。どうやら僕はそんな世界が好きみたい。

1000 年後の子孫に胸が張れる状態でこの世を去りたい、そう言っている僕だから。

　時間や想いを積み重ねる。今のところ、新しくつくり出したものには出来ない色合いを醸し出してくれる。建物だけではなくて、服や靴、鞄もそうだ。ペンに手帳に、パソコンだって味が出る。その色合いは「レトロ風」とか「ビンテージ風」といった雰囲気のものとはやはりちがう。

例えば建物でいうと、雨に濡れたり風に吹かれたりして生まれた色合い。ただ汚れていくような素材ではなく、レンガや木など、きちんと手入れさえすれば、時が経てば立つほどより味のあるものに変化していく。

　考えてみると、僕という人間もそうだ。この世に生まれ、人に触れ、植物に触れ、動物に触れ、街に触れ、その結果、今の僕が存在する。

今までの出来事のすべて、どの出来事が抜けても今の僕は存在しないし、それは僕の目の前のこと以外も、ひとつでも何かが変わっていたら、こうして僕はここにいなかったはず。

　時間は少し流れて 20 時頃。僕は晩ごはんを求めて２番目に近い駅の方へと歩いていった。

僕はこういった商店街が好きだ。良いとか悪いとかではなく、好きだなと思う。なぜ好きなのかを考えてみると、その理由は「それぞれのお店に人が表れている感じがする」から。

中に入りにくいお店も多いし、イラっとする接客も時折ある。お店の人とお客さんの何気ない話とか、店内のオリジナルなレイアウト、そんな個性に触れるのがとても好きみたい。

　その中でも、心を奪われる様な対応に接してしまうと、その店に何度も足を伸ばしたくなってしまう。そんな個性が並んでいる商店街を見るとワクワクしてくる。

もちろん、大型店舗にもステキなお店が並んでいるのも知っている。それでも商店街が好きだと思う他の理由に、「その街の歴史が通りに刻まれている」と感じるから。ここにも時間や想いが積み重なっていて、人が生きたという歴史に触れることが出来る。

この先世の中の価値観がどう変化していくのかはわからないが、それでも僕はそんな積み重ねに触れ続けていきたい。

おしまい