一枚の写真から綴られる、ひとつの旅の物語。
これは夜ではなく、朝9時台の羽田空港第2ビルにあるカフェでの写真。
時間は少しさかのぼり、8時くらいの埼京線に池袋から乗り込んだ僕は背中を押されながら電車のドアに左腕の肘を押しつけて、左手はドアの上部、モニターがあるところの下側を持って自分を支えていた。
右側には通勤慣れしてそうな若めの男性が、腕を組んだまま目を瞑って微動だにせず立っている。左側の、やはり通勤慣れしてそうな若めの男性は、入り込んだ時にするっと身体を入れて、うまいこと人の波を受け流していた。
こんな電車に毎日乗ってるなんてマジで尊敬します。
これは彼らふたりだけに思ったのではない。僕の後ろでがんがん背中を押してくる、四面楚歌状態、いや僕側の一面だけは押せるのか、そんな状態のおじさんや、左側の通勤慣れしてそうな若い男性の向こうで、角っこでこぢんまりと難を逃れている僕よりも少し若めの女性にも、今この時間にこんな密度の電車に乗っている人たちすべてに僕は敬意を払う。
そんな人生の中で数える程度しかない状態を1度終え、JR 大崎駅で山手線に乗り換えてひと駅、そこでもまた押しくらまんじゅうを味わい、鉄の箱の中に充満している音や匂いなど、そんな人間らしさを五感で感じつつ、ただ窓の外に流れる朝の街の景色を眺めている僕がそこにいた。
そして品川駅で京急に乗り換えて羽田空港へ。ここではもう押しくらまんじゅうを味わうことはできなくて、ドアのすぐそばで支払いができていないがために電波の入らない iPhone をいじりながら佇む僕が。
羽田空港に到着する頃には人はますます減っていて、座ってデイバックの中に入っている文庫本のリズム ( 森絵都 著 ) を読むこともできたのだが、なんとなく今朝の僕は地下に入り込んだ電車の窓の外の壁を何となく、ただ何となく眺めていた。
電車を降りて待ち合わせの場所へ。僕の方がほんの少し早く到着したようでモノレールの改札前にあるインフォメーションを行ったり来たり。どっちのインフォメーションで待ち合わせなのか、実はわかっていない。なので羽田空港の Wi-Fi を拾いながらそのあたりをウロウロしていた。
僕が待っていた時、モノレールの改札から出てくる人はまばらで、京急とは大違い。たぶん2往復くらいした時だったと思うが、ちょうど待ち合わせしていた まさおみん が改札から出てきて、僕はあたかも、何もなくここで待ってましたよ、なんて、そんなやや調子のいい自分がいた。そんなのどちらでもいいことなのだが、そこには意図せずポーカーフェイスな僕がいるのかもしれない。
彼と逢うのは今年の4月に札幌で逢って以来。勝手にはじめた JAPAN TOUR 2015 のスタートの時に数日一緒に過ごして、たくさんダイアログして、今日がそれ以来の再会になる。いつもは白かピンクのポロシャツのイメージがあって、黒いポロシャツに黒のバッグにスーツケースと、今日はなんだかいつもと違う装いな感じ。
もう何年になるのか、出逢ってから。ちょうど3年。僕が旅人生活をはじめるきっかけになった旅の最後に東京で逢ったのが最初。そこで出逢って以来、僕は何度も何度も札幌でお世話になっている。そして東京でもこうして声をかけてもらって。
何気に淡々とした再会を済ませ、まずは まさおみん のチェックインで2階の出発ロビーへ。地下からの長いエスカレーターをのぼると、意外にも多くの人で出発ロビーは賑わっていた。
連休明けではあるが、平日だからそんなに人がいる印象が無かった、僕の勝手な感覚だが。でも、こんなに人がいるなんて。まるで土日のような感じ。連休に有給などを合わせている人もいるのだろうか。それとも今日からがこの人たちの連休なのだろうか。
まさおみん がチェックインして荷物を預ける間、そんな妄想をしながら僕は出発ロビーに佇んでいた。
そして時間は写真の頃へと戻る。
出発ロビーを見渡せるこのエリアにはたくさんの飲食店があるのだが、オープンな感じのこのお店に決定。洋の装飾で飾られた店内にはフライト前にひとりで朝ごはんを食べる少し年配の女性や、食後に珈琲を飲んでいるカップル、ビールとワインで乾杯するスーツ姿の男性2人組など、それぞれが空港でのいろんな朝の時間を楽しんでいる。
実は去年の 11 月も一緒にこのお店で朝ごはんを食べた。同じくビールも飲みながら。前日食べた晩ご飯がお腹にしっかりと残っていたのでビールだけの注文だったが、こうしてベーコンたっぷりの BLT サンドとフライドポテトが目の前に並んだ。
ということで、朝9時過ぎではあるがビールで乾杯。
まさおみん とビールを飲み、目の前の食事を食べながら、ここ最近のことからダイアログ。前回出逢った4月からを自然とふり返っていた。実際のところ、それは今に集約されていて、過去も未来も今という瞬間に含まれている。だから今を話せば過去を自然とふり返れるし、今を話せば未来が自然と見えてくる。
朝からビールを飲む、というこの開放的な時間は、落ち着きを与えてくれる仲間の存在も加わって、僕の中にある想いの解放へとつながっていった。思えばこの頃からそんな流れだった、いや、ふり返るとその前からすべては今のためにつながっていた。
やはり人生は面白い。必ずしも最高ではないにしても、僕らの毎日は最適な出来事で構成されていて、良いも悪いも必然的な偶然の連続で成り立っている。だからこそのあるがままである。
フライトまでの約1時間半、まさおみん とのダイアログはここから先の僕の在り方を見事に映し出してくれて、そして まさおみん は札幌へと旅立って行った。
おしまい
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1977年、広島生まれ。ファシリテーター。広島県竹原市と岩手県盛岡市の二拠点生活+旅。スキナコトヲ スキナトキニ スキナトコロデ、とういう生き方。ファシリテーターとして促すのは、目の前の相手の人生。
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