お金という、万能な交換ツール。| 旅が教えてくれたこと #006


Ver.1.0.2



– 旅で体験し、旅から学んだこと。-




 仮に、どんなに手持ちのお金が少なくても、笑顔で感謝して相手に手渡せる自分で在り続けるし、素直に受けとれる自分でも在り続けます。そんな、ポジティブな想いをのせたお金がどんどん世界を巡っていけば、僕らのまわりはきっと、陽がさんさんと世界を照らすような、キラキラした循環が溢れるのだと思うのです。



お金





– お金は何にでも換わる、万能なツール –


まずは初めに、質問させてください。


・・・・・


あなたは今、ものすごくお腹が空いているとします。そんな時、あなたが以前から行ってみたいと思っていた懐石料理店に招待されました。そして、お品書きを見せられ、1万円のコースを提案されました。このお代は、あなたの行為に感謝してくれた、目の前の人が支払ってくれます。


懐石


そのお品書きの横に、「 御礼 」と書かれた、1万円が入った封筒を差し出されました。すると目の前の人は、「 先日のお礼です。両方お渡ししたいのは山々ですが、私が今回お渡しできるのは1万円までなのです。あなたが嬉しいと思える方をひとつ、選んでください。」と言われました。


さて、あなたはどちらを選びますか?


・・・・・




折衷案や妥協案、こうすべき、ああすべきなどべき論などは脇に置いたとして、この2択のどちらかを選んだとしても、食べるかお金を受け取るかの理由は十人十色なのだと思います。「 なかなか食べられないものだから 」と喜んで食べる人もいれば、自分ひとりで好きなものを食べ、残りは他に使う人もいれば、欲しいものを買うためのお金として貯金する人もいるのだと思います。




目の前に同等の価値を感じる、モノやサービスとお金が並び、どちらかを選ぶ必要がある時に人は、欲しいものが目の前にあるのであれば、シンプルに欲しいものを選びます。でも、それよりも他に欲しいものがあるのであれば、お金を選ぶでしょう。それがお金の立ち位置であり、お金の役割。お金は、僕らが欲しいモノを手に入れるための、万能な交換ツールです。

ただし、そのお金に価値があると認められるところで、尚且つお金で交換できるモノに限りますが。日本円が通用する場所であればどこでも日本円は使えますし、日本円は多くの国で両替してもらえるので、簡単に現地のお金を手にすることができます。




こんなことを言っている僕ですが、家業に就いてからの自分にとって、お金の印象はマイナスでしかありませんでした。自分らで創り出した負のスパイラルの中で、お金とは、手にしても手にしても失っていく、過去の清算に今を充てるためのモノで、人と人との関係性を悪くするモノ、と思う日々が続いていました。

ちなみにこれは、僕と両親とが協力して創り出した状況だということが、今ならわかります。わかって欲しい、認めて欲しい、自分は悪くない、そんな想いをぶつけ合いながら、負のスパイラルが広がっていきました。そしてその中で、僕が勝手にお金に対する負のイメージを創り出し、勝手にそう思い込んだ、それだけのことです。

お金自体には良いも悪いもないし、3人で協力し合えば簡単に正のスパイラルに変えられることだったと、当時をふり返るとそう思えます。ただ、きっとその時は、その状況や思い込みが必要だったのでしょうね。その結果こうして、以前よりもお金の本質を知ることができ、真っ直ぐ穏やかにお金に接することができている自分がいるので、結果オーライです。




そんな僕は、旅する暮らしの中で、お金とは何かのか真っ直ぐに向き合い、その価値に目を向ける機会をもらいました。その機会というのが、お金を使わずに旅ができるかどうかの、4年間の実験の中で行ってきた、価値と価値との交換です。


それを行い続けたことで、今まで気づくことができなかった大切なことに気づいていきます。そのひとつが、お金は必要な価値を得るための、万能な交換ツールである、ということです。


心からのありがとうを、巡らせ合える世界へ。
– 提供できること・必要なもの一覧 –



その実験を終えた今も変わらず、僕は上記のリンク先のリストに、自分が今必要としているモノたちを更新しています。


それをどうやって手に入れるかを考えると、自分にとってお金はそのひとつの手段ということでしかありません。でも多くの人は、手に入れるための手段はお金しかない、という思い込みで生きているか、もしくは、手に入れたいものがわからないから、何にでも交換できるお金をひとまず得ようとするようです。




– 人に喜ばれる使い方を –


あれは確か、お金を使わずに旅ができるかどうかの実験を終え、物々交換とお金を使った交換とを併用するようになった頃でした。本屋さんでたまたま手に取った本を読んでから、お金の使い方に対する意識が変わりました。とにかく、自分にも人にも喜ばれる使い方をしたい、と強く意識するようになったのです。やっと、ほんの少しだけ、大人になれたのかもしれません。




例えば、家族や仲間など、僕のまわりの大切な存在が喜ぶことなどに、とにかくお金を使いたいです。本をプレゼントしたり、お酒をプレゼントしたり、一緒にご飯を食べに行ったり。高額な何かではなく、毎日の中の些細なことで。とにかくそんな、自分にも人にも喜ばれるお金の使い方をしたい、と強く意識するようになりました。


それと、1日1000人が来るお店よりも、1日100人が来るお店で買い物がしたい、とも思うようになりました。大手で、知りもしない人が吸い上げるのであれば、僕は目の前に生きている人に、お金というエネルギーを渡したいのです。きちんと感謝の想いを込めて「 売ってくれてありがとう 」ってお金を手渡したいのです。


だからできる限り、大手のスーパーではなく、地元のスーパーや商店街などの八百屋さんや肉屋さん、酒屋さんなどに行くようにしています。特に旅先では、古くから続くそのまちの暮らしに触れるためにも、地元のお店で買い物や食事するようにしています。比べてみると買い物に2〜3倍は時間がかかるし、単純な消耗品だと大手に比べて高い場合もありますが、その時間も含めて、そのまちの暮らしに触れたくて。




とはいっても、旅先などで名を知っているチェーン店が安心をくれる時もあります。それに、働いている人の多くはその土地の人なので。それなので、結局は大手のお店にお世話になることもありますが、どちらにしても、自分が「 好きだな 」とか「 応援したい 」と思える場所で買うことにしています。


あと、懐事情にもよりますが、「 好きだな 」とか「 応援したい 」と思えるそんなお店だから、安売りのタイミングで行くよりは、通常の価格で買って帰りたい気持ちもあります。またそのまちに行った時に、そのお店があってくれたら嬉しくて。旅で訪ねた先のまちだけど、それでも、このまちの大事な経済が続いていくよう、いい循環への願いも込めて、お金というエネルギーを巡らせれるといいな、と思ってます。




それが仲間の店やサービスなら尚更、値引きしてもらうのではなく、きちんと対価を払える自分でありたいです。仲間の商売繁盛を願って、自分自身の喜びや感謝などの想いをのせたお金というエネルギーを喜びながら手渡して。


それは結果的に、すべて自分に戻ってくるものです。自分や人が喜ぶお金の使い方をすれば、感謝の気持ちをたくさんのせたお金が世界を巡り、回り回って自分のところに還ってきてくれます。しかもそれは、より大きなエネルギーを伴って。だからこそ、自分や人が喜ぶお金の使い方をする必要があるのです。


画像の説明


– ポジティブなエネルギーをのせたお金を –


自分の体験をふり返りながら言葉にしていると、お金はエネルギーであり、それに喜びや感謝をのせるのか、それとも怖れや苦しみをのせるのか、自分たちの心の在り方によって世界の巡り方を変えるきっかけになるもの、だと思えて仕方がありません。


お金というエネルギーの巡らせ方によって、ポジティブな循環もネガティブな循環も、自由に生み出せるわけで、その巡りを受け取ることによっていくらでも、自分の心のあり方や目の前の状況など、自分次第で変わっていくということです。




実際に、お金と気持ちの巡らせ方を考えるようになって、僕自身の心のあり方や、目の前の状況など、変化してきました。結局、自分で巡らせたエネルギーによって、自分に還ってくるものが変わるのであって、今の自分の状態や状況は、すべて自分で創り出したものだと実感しています。


「 ありがとう 」って気持ちをのせたお金を巡らせると、「 ありがとう 」が還ってくるし、「 失った 」「 奪われた 」って気持ちをのせたお金を巡らせると、「 失った 」「 奪われた 」が還ってくるし。とてもシンプルな世界なのだと思うのです。




どうしてそんな大切なことを、僕らが生きる環境では教えてもらえないのでしょうか。




自分が旅から学んだことを長々と言葉にしてきましたが、僕はお金に関する大切なことの、ほんの1部分を知ったに過ぎません。その先にはまだまだ知らないことがたくさんあって、この先も体験を通じて学んでいくのだと思っています。お金のことだけでなく、学びはこの世をさるまで続くのでしょうから。


どちらにしてもこの先、どんなに手持ちのお金が少なくても、笑顔で感謝して渡せる自分で在り続けたいし、反対に素直に受けとれる自分でも在り続けたいです。そんな、ポジティブなエネルギーをのせたお金がどんどん世界を巡っていけば、僕らのまわりはきっと、陽がしっかりと当たるような、キラキラした循環が溢れることでしょう。




おわり




” この「 旅が僕に教えてくれたこと 」では、2012年から始めた旅する暮らしの中で体験や実験し続けてきたことから、学んだことをまとめてあります。それは僕にとって、旅の中だけでなく、日々の暮らしの中でも大切にしたいことです。それを言葉にすることで必要としている人のもとに届き、心から笑える世界が広がる、きっかけの一つになれたら幸いです。”




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